社長日誌

DIARY

殉死

 私の最も嫌いで、最も愛すべき作家である司馬遼太郎氏の作品です。
 私は学生時代、歴史が好きだったからこそ司馬氏の作品を読むことを避けてきました。
 なぜなら、司馬氏の巧みな筆力のために歴史上の事実と彼の創作部分の区別がつかなくなることを恐れたためです。
 しかし、私が27歳で病気をし1ヶ月半程入院したときに読んだ本が「坂の上の雲」でこの本には非常に励まされました。
 それ以来、歴史から遠ざかるよりも創作も含めて歴史を楽しもうという考え方に変わっていきました。
 よくよく考えてみると私の学んだ歴史にしても、明らかに時の為政者によって歪められていたり、新たな発見によって覆されたりするものがたくさんありましたので、司馬氏が多少の創作を交えることにあまり神経質になることもないと気がついたのです。

 この殉死という作品は乃木大将の殉死について書かれた作品で1967年、私が生まれた年に書かれました。
 年代及び書かれた思想、内容から見ても、その後1968年から1972年にかけて書かれた「坂の上の雲」の姉妹作であることは間違いありません。
 かつて「坂の上の雲」を読まれた方は関連作品としてお読みになることを勧めます。