社長日誌

DIARY

賊将

 池波正太郎氏の中・短編集です。
 表題の他に応仁の乱、刺客、黒雲峠、秘図、将軍の5編が収録されております。
 これらは昭和32年~34年頃に発表された氏の比較的初期の作品です。
 まだ作風が確立されていなかったためか、応仁の乱は司馬遼太郎氏の作品に近い筆致で池波氏の持ち味があまり感じられませんでしたが、人間関係が複雑で理解しがたい応仁の乱での人間関係を非常に判りやすく描いております。
 私は歴史が好きのですが、応仁の乱における人間関係を理解できずにいましたが、この作品を読むことで初めて理解できたと思います。
 また、その他の作品も刺客→真田太平記、秘図→鬼平犯科帳、賊将→人斬り半次郎・その男と繋がっていく重要な作品が収録され池波氏を理解するには欠かせない作品集になっていると思います。