社長日誌

DIARY

クライマーズ・ハイ

 今回の旅の友は横山秀夫氏の「クライマーズ・ハイ」です。
 これは1985年に実際に起こった日航機事故を題材にした小説ですが、実際に作者が当時、地元新聞社で記者をしていただけあり、編集現場の臨場感は鬼気迫るものがあります。
 この作品は映画化もされており横山氏の代表作として名高いため以前から持っていたのですが、今回まで読めずにいました。
 なぜならば、日航機事故から17年後、主人公が山登りに向かう場面から始まる作品の出だしが何だかこの作品に対する私のイメージと異なっていたため2度読み始めたのですが、初めの2~3ページで断念してしまっていたからです。
 しかし、旅の合間に読み進んでみると、やはり横山氏の読ませる力のすごさに感服します。
 私は日航機事故という性質から、御巣鷹山の現場を駆ける第一線の記者が主人公だろうというイメージを持っていましたが、実際には現場には一度も足を踏み入れない管理職が主人公なのです。
 にもかかわらず、事件の重大性、遺族の悲しみといった現場の臭いさえも余さず伝えております。
 帰りの飛行機の中で読んでいるときには、さすがにちょっと縁起が悪いかなとも思いましたが、読み始めたら縁起を担ぐことも許されない程に夢中になってしまう作品です。(^^)