免疫力を高める睡眠
昔から、睡眠不足は風邪をひきやすくすると言いますが、それは、睡眠と体の免疫力が密接な関係にあるからです。
私たちの体には、外から入ってくるウイルスを撃退する機能である「免疫」が備わっています。風邪をひいたり、感染症にかかったりすると免疫系の働きが活発になり、病原菌を撃退します。
ですが、免疫の働きはこれだけではありません。
免疫の中には、睡眠を誘う働きを持つ物質があるのです。風邪をひくと眠くなりますが、これは、単に風邪薬の作用だけではなく免疫系が活発になっていることが原因しているのです。
ウイルスに感染したときに、身体の中で免疫反応として分泌される物質に「サイトカイン」と呼ばれるものがありますが、サイトカインはウイルスの増殖を抑える働きだけでなく、脳に作用して睡眠を誘う働きがあります。
病気と闘うための体力回復には睡眠がとても重要なのです。
体を整える自律神経
また、私たちの体を整えている神経に「自立神経」と呼ばれるものがあります。自立神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は「緊張の神経」、副交感神経は「リラックスの神経」とも呼ばれています。この2つのバランスが崩れたとき、免疫力が低下するといわれています。
睡眠中は、交感神経の緊張がとれ、副交感神経が主に働くようになり、リラックスした状態へと導かれます。すると、免疫細胞の働きが活発になり免疫力が高まるのです。
ですから、睡眠をとって「リラックスの神経」である副交感神経の働く場所を作ってやる必要があります。睡眠不足が続いたり、ストレスがたまったりすると交感神経が緊張し、これが長く続くと免疫力が低下し風邪などをひきやすくなるわけです。
ノンレム睡眠による身体の回復
また、免疫の働きには、睡眠の質も深く関係しています。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、レム睡眠は「身体の眠り」、ノンレム睡眠は「脳の眠り」の状態と言いかえることができます。
心身の修復や疲れの回復には、ノンレム睡眠が深く関わっています。
ノンレム睡眠時、身体のなかでは、組織の成長や回復に備えたり、ストレスに抵抗して免疫増強作用のあるホルモンが分泌されたりと、身体の回復が活発に行われています。
免疫と睡眠の関係を見るために、ウサギをインフルエンザウイルスに感染させたという実験があるそうです。
その結果、発熱と共に、血液中の免疫物質の量が増えて、それに続いて深いノンレム睡眠が現れたそうです。
ウイルスと闘うためによけいな活動をして、エネルギーを使わないように、脳が指令を出したと考えられます。
この事からも、免疫を高めるには睡眠が大事だということがわかります。
ワンポイント
体調が悪いなと感じたら、無理をして動き回らず、ぐっすり眠りましょう。
その方が結果的に早期回復にもつながります。
このような時期だからこそ、もう一度自分の睡眠を見直して見るのも良いかもしれません。