社長日誌

DIARY

その男(ネタバレ)

 この本は私の大好きな池波正太郎氏の作品で「狼よ落日を切れ」という題で映画化もされています。
 この小説は氏が40歳代後半の油が乗り切った時期にかかれた作品で池波氏自身も後書きで「もっとも愛着の深い長編小説となった」と書いています。
 小説の内容は主人公 杉虎之助の生涯を通して幕末から西南戦争までを描き、後半部分では特に中村半次郎(=桐野利秋)や西郷隆盛との関わりを中心に話をすすめています。
 この作品自体は文庫本3冊の長編になりますが、この作品を書く以前に池波氏はこの作品のプロットともいえる「剣客山田又蔵従軍」や「開化散髪どころ」、「人斬り半次郎」といった短中編を書いており、それらの集大成がこの作品であるともいえます。
 この作品を読むと桐野利秋や西郷隆盛といった当時の薩摩気質の男達が持つ気持ちよさに感動すらおぼえます。
 幕末・明治の歴史小説が好きな方だけでなく読みやすさからいっても多くの人に読んでもらいたい秀作です。