社長日誌

DIARY

珍妃の井戸(少しネタバレ)

 中国の清朝末期を舞台とした浅田次郎氏のベストセラー「蒼穹の昴」の続刊です。
 義和団事件の最中に皇帝の寵姫であり、絶世の美女といわれる珍妃が殺害されたのは歴史上の事実で、犯人は西太后とされております。
 しかし、この真犯人は西太后ではなかったというところから話は始まり、イギリス、ドイツ、ロシア、日本4人の貴族達が真犯人の捜索に乗り出します。
 「蒼穹の昴」とはうって変わって7人の証人がそれぞれ一人称で、7通りの珍妃の死を語るというスタイルです。(厳密にいうと6通りか?)
 話の中ではそれぞれが嘘をついている事になってはおりますが、これらはどれも起こりえた光景であり、どれも珍妃の死に対する浅田氏が提示する真実であると言えるでしょう。
 それにしても前回の主人公である李春雲や梁文秀の活躍の場が今回はほとんどなかったので、彼らが活躍する続編も是非、書いて欲しいものです。