さて、今回は・・・、
意外としらない「毛布」の歴史
についてご紹介です!
だんだんと朝夕の気温が低くなってきました。
起きやすくなったり、はたまた寝つきが冷えるようになったり。
そんなときに手軽に使える、あったかい寝具の代表格の一つと言えば「毛布」。
皆さんはこの毛布がもともと「寝具」ではないものとして日本に入ってきた、というのはご存知ですか?
今回は、知っているようで知らない「毛布」についての歴史豆知識をご紹介します!
■寝具じゃない?羊の毛で作られた「防寒具」
毛布は古くから世界中で愛されてきた寝具ですが、記録として残っているのは多くはないようです。
毛布が登場する古い記録としては、かの有名な三蔵法師の日記があります。その中で「毛布」と思わしき物が言及されています。
インドへの旅の中で「ヒツジもしくはヤギの毛でできた防寒具」として登場し、それは身にまとうものであると書かれていました。
三蔵法師が旅をしていたのは西暦629年から645年。
日本でいえば、645年大化の改新が起きた頃には、毛布が存在していたことになります。
ヨーロッパでは、昔から羊毛を使った毛織物が産業として定着しており、11~12世紀から盛んになり、16世紀ごろにはスペインやイギリスで最盛期を迎えました。
そのおかげで、羊毛加工技術は大変高く、良質な毛布が作られるようになります。
ちなみに、ヨーロッパの緯度は北海道と同じかもっと北!寒冷な地域であり、今でも毛織物(ウール)は欠かすことのできないものとなっています。
■日本で初めて作られた毛布は「牛」!?
昔から愛されてきた「毛布」ですが、日本に入ってきたのは明治になってから。
ヨーロッパから入ってきた毛布は羊の毛でできており、触り心地が滑らかであたたかく、大変評判がよかったようです。
しかし毛布は当時の値段で安くても4円、高いものだと15円。100円あれば家が建つ時代、かなり高価なもので、庶民の憧れの的でした。
これを輸入だけでなく日本でも作れないか、と考えて開発されたのが牛毛布。
日本国内では羊の毛は手に入りにくく、かわりに入手しやすかった牛で毛布を作りました。
ただ、牛の毛は短く硬い毛で触り心地はあまりよくなく、また牛特有の匂いもあってあまり売れなかったそう……
それでも少しでもよくしようといろいろな試行錯誤が重ねられていました。
その過程の試行錯誤が、のちに日本産の毛布の発展に大きく寄与します。
■赤ゲット、と呼ばれた輸入毛布
毛布が日本に入ってきた明治、その時にできた言葉として言われているのが「赤ゲット」という言葉です。
毛布は当時から「ブランケット」と呼ばれており、赤ゲットとはその名の通り「赤いブランケット(毛布)」のことです。
実は明治に日本に入ってきた毛布は「寝具」ではなく「防寒具」として使われていました。
ヨーロッパから入ってきた毛布はきれいな赤色をしていました。これはイギリスが、インドに毛布を持ち込んだ時に赤が大人気だったため、同じように日本でも赤が好まれるのではないか?という理由で赤い毛布をたくさん輸出したそうです。
この赤い色はとても鮮やかで目立つので、迷子防止に役立ちました。田舎から都会へ出てきた人たちは、この鮮やかな赤い毛布を身に纏っていたため、「赤ゲット」は「おのぼりさん」や「洋行者」という意味でつかわれるようになったそうです。
夏目漱石の「吾輩は猫である」にも「赤ゲット」が出てきます。故郷を出るときに大枚叩いて買った赤ゲット、というニュアンスで書かれています。
このように、毛布が入ってきた当時は寝るときに使うもの、というよりは外に着ていくもの、防寒着という衣類として広まりました。
■そして日本で毛布が広まった
防寒着としての毛布でしたが、動物の毛ではなく、綿花の栽培が盛んだった泉州では、綿で毛布を作れないか?ということで綿毛布が作られました。
この綿毛布が売れたのは、なんと日本ではなくて中国。戦争により疲弊したヨーロッパの毛織物工業と入れ替わるように、日本の綿毛布が世界に広まっていきました。
その後日本国内でも、ヨーロッパからの輸入が減ったこともあり、国内生産の毛布が多く出回るようになり、急速に日本国内でも広まり始めました。
また戦争中に毛布が防寒に役立っただけなく、寝具としても非常に優れていることが広まり、日本に寝具としての毛布が浸透していったと考えらています。
今でも泉州はタオルをはじめ、日本産の高品質な毛布を生み出し続けています。
■まとめ
いかがだったでしょうか?
毛布の歴史を紐解くと、今ふわふわの毛布を手にしているまでに長い時間がかかったことがわかります。
今もなお、普通のものより重い毛布や軽くて暖かい着る毛布など、試行錯誤を重ねて新しい毛布ができています。
今日は少し、今使っている毛布について思いをはせていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!