■宇宙飛行と睡眠の歴史
人類初の有人宇宙飛行は、1961年に打ち上げられたソ連のボストーク1号です。これに搭乗していたのが「地球は青かった」の言葉でも有名なユーリイ・ガガーリンです。
飛行時間は1時間48分で、このとき宇宙で眠ることはありませんでした。
ガガーリンの4ヶ月後に宇宙に行ったゲルマン・チトフは、25時間宇宙に滞在し、人類で初めて宇宙で睡眠を取りました。
チトフは、そのときの感想を「赤ちゃんのようにぐっすり眠った」と話したそうです。
今では、400人以上が宇宙睡眠を経験しており、色々なことが分かってきました。
■宇宙ではどのように眠るのか?
普通の睡眠ともっとも違うのは『重力』がないことです。
宇宙は無重力で、文字通り宙に浮いた状態で生活をするので、そのまま寝ていると浮き上がってしまいます。
スペースシャトルや宇宙ステーションでは、小さな寝室や寝袋を使って、体が浮かないように軽く縛ってから寝ます。スペースシャトルなどでは戸棚式に4段ベッドが備え付けられています。人数が多くベッドが足りないときはいろんなところにハンモックのようなものをつるして眠ることもあります。
また、腕を外に出して寝ると腕が浮いて「前にならえ」のような感じになってしまうので、気になる人は寝袋などに腕を入れて眠るようです。
■宇宙で眠ることの弊害
宇宙で行われた実験によると、睡眠の内容やリズムはほぼ地上での睡眠と同様という結果が出ています。
しかし、不眠になりやすい宇宙ならではの原因もあります。それは、『宇宙酔い』です。宇宙に出てから3日目くらいまで悩まされる乗り物酔いのようなもので、無重力による平衡感覚の乱れにより起こります。
『ムーンフェイス』は、重力で足に溜まっていた血液が、無重力空間に身を置くことで頭の方に移動して、顔がむくんでしまうことです。顔が満月のように丸くなってしまうので『ムーンフェイス』と言われます。これも3日目くらいには治るのですが、それまでは鼻が詰まったり、頭が重く感じて、うまく眠れなくなることがあります。
ワンポイント
日本人宇宙飛行士の方が宇宙から通信してきたとき、その人が宇宙でどんな風に眠っているのか想像してみると、親近感がわいてくるような気がします。